ご存知のように、特許出願書類の翻訳の品質は特許請求の範囲および特許権の安定性を左右しますが、誤訳などの劣悪な翻訳品質が原因で発明の保護が十分に図れない場合が残念ながら生じることもあります。
現在の業界における翻訳に関する問題点を分析すると、特許事務所の場合には、事務所の規模によって問題点が異なります。大手特許事務所の中には、弁理士の作業量を平準化するために、関連性の強い案件であっても異なる弁理士または翻訳者により出願処理が行われ、技術用語を含め翻訳が統一されないケースが生じます。一方、中小特許事務所の場合は、日本語の堪能な弁理士が不足していることにより、外部の一般的な翻訳会社に翻訳を依頼することになる為、その品質を確保することができないケースが生じます。
次に翻訳会社の場合には、特許翻訳に特化した会社でなければ特許翻訳のルールに精通しておらず、技術分野を全てカバーすることも困難であるため、翻訳の品質は特許事務所よりはるかに下がります。
弊社では、各技術分野に精通し、長年特許専門の翻訳経験がある翻訳者、特許代理経験があるチェッカーが直接作業にあたるとともに、用語集およびコーパスを技術分野ごと、出願人ごとに管理できるよう、翻訳ツールを導入しており、翻訳の漏れ、誤訳および技術用語が統一されないなどの問題を解消することができました。また、翻訳ツールを利用することで、大幅に作業効率が上昇したため、翻訳コストのダウンにつながり、お客様のご負担の軽減を実現することができました。
弊社の強みは、高い翻訳品質とリーズナブルな価格の両立を実現させ、お客様にサービスをご提供していることです。
是非とも弊社のサービスを一度お試しくださいますようお願い申し上げます。
特許翻訳に関して、英中翻訳より日中翻訳のほうの品質問題が深刻です。その一番大きな原因は英中特許翻訳より日中特許翻訳人材のほうが遥かに希少であることにあります。近年、訪日留学人材の帰国によって、多少改善されましたが、未だ満足できるほどではありません。
日中特許翻訳人材が著しく不足している現象の一つは日本からの特許出願件数と日本語弁理士及び翻訳者人数のアンバランスです。中国では、大多数の日本語弁理士及び翻訳者は理系出身でありかつ日本語を第一外国語として専攻した人材で、日本への留学、仕事、生活経験者、または中国国内で日系企業における勤務経験者はごくわずかです。このような人材は、理系出身で英語を第一外国語として専攻した人材よりはるかに少なく、数にして英語人材の10分の1にも満たない状況です。
中国特許庁(専利局)の統計データによると、2017年の外国から中国への特許出願件数は13.6万件、その内日本からの出願件数は4.1万件、日本以外の国からの出願件数は9.5万件でした。
9.5万件の日本語以外の出願案件の多くは英語によるものですが、韓国語(約1.3万件)、ドイツ語、フランス語などの言語による出願も含まれます。
仮に、この9.5万件の特許出願を全て英語出願として計算した場合、日本語出願対英語出願の割合は約43%となります。
もし、この9.5万件特許出願の中から韓国語などの案件を排除すると、日本語出願対英語出願の割合は約55%~60%となります。
上述の数字を分析して、大学の理科系出身卒業生である前提として、英語を第一外国語とする人数の10分の1にも満たしていない日本語を第一外国語とする卒業生が日本語出願対英語出願割合の約55%~60%の作業量を負担することなり、日本語人材の供給矛盾が英語人材よりも著しいことが分かります。
これこそ、中国特許事務所(特に中小規模事務所)における日本語弁理士不足、特許業界における日本語人材希少の真の原因です。
このような環境の中、経験が豊富で、真剣・厳格、超高レベルな、長年特許翻訳に特化した日本語特許翻訳チームの存在は非常に貴重であり、当社の強みとするところです。
長年の業界経験から私は実績を出す為には、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」一点に集中して継続する道を選びました。
では、創業したばかりの会社にとって、様々な知的財産業務から何を選び、自社のメイン業務にしたらいいでしょうか。
私はまず、以下の原則を定めました。
(1)大量の業務量が予想出来る領域であるからこそ、発展性がある。
(2)業務モデルには不合理が存在する。即ち、業界の盲点に挑む。それは、特許業界のように、従来技術における問題点があるからこそ、発明者に発明・創造の原動力を与え、その発明の推奨に市場ニーズを発掘できることからの発想。
(3)自分の得意とするまたは上述の問題点を解決できるだけの状況把握。
(4)発展性があり、リスクが小さい。例えば、川上と川下の関連業務、または将来の技術進歩により革命的な発展が及ぶような分野。
調査の結果、私は自身で定めて選択の原則に照らし、特許翻訳業務に絞り込みました。
具体的な理由は次の通りです。
(1)特許出願ケースごとに必ず生じるものであり、特許出願量の増加に応じて翻訳業務量の増加も予測でき、将来性・発展性があると判断したこと。
(2)特許翻訳業界には翻訳品質の問題以外に、特許事務所が新規出願段階における翻訳作業と他の作業のコスト対収入の比率がアンバランス(翻訳収入が売上の70%を占める一方、翻訳コストは全体コストの30%を占めることは「三七現象」と呼ばれている)となっていること。
(3)私自身が長年蓄積してきた人材資源を活用すれば、上記の問題を解決できる能力を有していること。
(4)特許翻訳の川下関連業務への発展性が大きく、将来的に人工智能機械翻訳が本業界に革命的な進歩を及ぼすこと。
以上の分析を基に、特許翻訳業界の痛点を解決するため、私は迷いなく、特許翻訳を自社のメイン業務に選定することを決めました。